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1 ワイヤーロープの構造 |
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ワイヤーロープは、良質な炭素鋼を線引き加工した強さ1.3GPa級以上の素線を、数本または数十本より合わせて子なわを作り、油をしみこませた麻心のまわりを、再び子なわをより合わせたものである。
麻心は、しみこませた油により素線の動きによる摩擦を防ぎ、さびを防ぐ役をする。麻心の代りに子なわを心として用いたものもある。素線をより合わせたものを子なわといい、この子なわを数十本より合わせたものをワイヤーロープという。
ロープを構成する子なわの数は3本から18本まであるが、一番多く使われるのは6ストランドのもので、これが最も安定した構造である。8ストランドのものは、柔軟性が特に要求される場合に使用されるが、6ストランドのワイヤーロープよりもつぶれや摩耗を起こしやすい。3ストランド・ロープは麻心を持たず、硬過ぎるので動索としてはほとんど使用されない。
ワイヤーロープは、JIS-G-3525により定められている。
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【1-1】 |
種類 |
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ロープの種別は標準引張り強さにより、次のように区別される。
当社標準はメッキ種とする。SUSワイヤーロープも耐食性に優れるがJISに含まれない。
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| 種別 |
エレベーター種 |
メッキ種 |
A種 |
B種 |
素線の
標準引張り強さ
(GPa) |
1.35 |
1.50 |
1.65 |
1.85 |
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【1-2】 |
撚り方、撚り方向 |
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ロープのより方には,普通よりとラングよりとに分けられる。
普通よりは,ストランド自体のより方向がロープより方向と反対になっていて,素線がロープの軸方向に平行に並んでいるようにみえる。
ラングよりは,普通よりに反してストランドのより方向とロープのより方向が同一で,素線がロープの軸方向に対して斜めになっているようにみえる。
より方向とは,ロープにおけるストランドのより方向をさし,ZよりとSよりとがある。一般にはZよりが使われており,Sよりは特殊な場合のみ使用される。
すなわち,クレーンなどで2本吊りの場合,Zよりと組み合わせて使用しロープが自転しないよう,均衡を保つ必要がある場合に使用される。
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【1-3】 |
撚り方の特性 |
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普通撚り |
ラング撚り |
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| 長所 |
・よりが安定していて、
キンクが生じにくい
・型くずれに強く取り扱いが容易
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・摩耗による損傷の度合いが
普通よりに比べて少なく、
柔軟である |
| 短所 |
・素線と外部との接触面が少なく
局部的に摩耗を生ずるので
耐久力がラングよりに比べ劣る
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・よりが戻りやすく、
キンクを生じやすい |
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ロープをほどいているとき、または引きのばしているとき、輪ができることがある。このとき、輪を直さずにそのまま引張るとキンクが生じる。
一度キンクが生じるとその損傷は永久的で、外見上直ったように見えても、その箇所が弱点となってロープの損傷が非常に早くなる。
キンクによる切断荷重の低下は次のような割合である。
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| ロープの状態 |
残存強度(%) |
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| 元のロープ |
100 |
| キンクを起こし、これを直したロープ |
83〜80 |
| 撚りのかかるほうのキンクを起こしたままのロープ(+キンク) |
60〜55 |
| 撚りの戻るほうのキンクを起こしたままのロープ(ーキンク) |
45〜40 |
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【1-4】 |
ストランド構成
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一本のストランドを作っている素線の数は3本から61本までが普通である。同じ太さのロープの場合には,素線の数が多くなればなるほど素線の径が細くなって,ロープの柔軟性は増加するが,摩耗には弱くなる。
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2 安全率および応力 |
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【2-1】 |
安全率 |
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ロープを使用するときは、ロープにかかる荷重を見積もってその何倍かの切断荷重のものを使用しないと、ちょっとした誤りがあったり、使用して強度が落ちたとき切断する危険があるから安心して作業することができない。
この倍率を安全率といい、静荷重に対するものと、加速度や屈曲荷重まで加えた総荷重に対するものとがある。わが国の法規によるロープの各種用途別の安全率は、以下表の通りである。
▼法規に定められたロープの用途による安全率
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| 用途及び仕様区分 |
ロープ安全率 |
ロープ安全率 |
適用規則 |
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静荷重 |
総荷重 |
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| 巻上 人車用、立抗、斜坑 |
10以上 |
5以上 |
鉱山保安規則 |
| 巻上 貨物用、立抗、斜坑 |
6以上 |
3以上 |
鉱山保安規則 |
| 斜坑用エンドレス |
3以上 |
2以上 |
鉱山保安規則 |
| つり足場用 |
10以上 |
- |
鉱山保安規則 |
| 人荷共用エレベータ |
10以上 |
- |
鉱山保安規則 |
| その他起重機 |
6以上 |
- |
鉱山保安規則 |
| 控え綱 |
4以上 |
- |
鉱山保安規則 |
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| クレーン巻上用 |
6以上 |
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クレーン等安全規則 |
| クレーンジブ起伏用 |
6以上 |
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クレーン等安全規則 |
| 横行、支持、緊急用 |
4以上 |
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クレーン等安全規則 |
| 第40条のクレーン巻上げ用(人) |
10以上 |
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クレーン等安全規則 |
| ケーブルクレーン用主索 |
2.7以上 |
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クレーン等安全規則 |
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| 林業用、集材、運材索道主索 |
2.7以上 |
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林業労働安全基準 |
| 林業用、集材、運材索道曳索 |
4以上 |
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林業労働安全基準 |
| 林業用、集材、運材索道巻上索 |
6以上 |
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林業労働安全基準 |
| 杭打ち機および杭抜き機 |
6以上 |
- |
労働安全衛生規則 |
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▲上記安全率は新しいロープを取付け使用開始したときのもの。
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【2-2】 |
応力 |
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ロープには引張応力のほかに、巻胴またはみぞ車によって曲げられることにより生ずる曲げ応力、巻胴またはみぞ車のみぞ底における圧力に基づくヘルツ応力、ロープの撚りに基づく初応力、素線相互間の摩擦に基づく応力、などが働く。
このように、ロープに生ずる応力は影響する因子が多いが、普通はD/dの限度を定めて引張応力のみを考える。ここにDは巻胴、またはみぞ車直径、dはロープ直径である。
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3 ロープの選定 |
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ロープには構成、より、種別、メッキの有無、寸法などにより非常に多くの種類がある。また、それぞれの特色があるが、これらの中からロープを選定するにあたっては、使用目的により各ロープの有する諸特性に合ったものを選定する必要がある。
各ロープの有する特性として以下表のようなものがある。
▼表 ロープの特性
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| 耐疲労性ロープ |
ロープ径に比較して素線径の細いZより(平行より)ロープで、かつ、ラングよりは普通よりに比べて優れている。抗張力は低い方がよい。 |
| 耐摩耗性ロープ |
ロープ径に比較して素線径の太い構成で、ラングよりロープが優れている。異形線ロープもよく抗張力は高い方がよい。 |
| 耐食性ロープ |
亜鉛メッキしたもので、特に亜鉛付着料の多いものが優れている。純アルミメッキしたものも優れている。特殊用途としてステンレスロープもある。 |
| 変性抵抗ロープ |
型くずれ及び変形に対してはZよりロープのI.W.R.C.,C.F.R.C.が特に優れている。 |
| 汎用ロープ |
汎用ロープとしては柔軟性に富む6×37が優れ、耐摩耗性重視の場合は6×7,6×19の構成がよい。 |
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4 ロープ油 |
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ロープに塗油する目的は,腐食を防ぐことと潤滑をよくするためである。すなわち,塗油すればロープと接触物との摩擦とロープ内部の素線相互及びストランド間の摩擦を著しく減じ,ロープ発錆と心鋼の腐食を防ぐ。
ロープ油には,赤ロープ油と黒ロープ油がある。以下に特色と成分表を示す。
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特色 |
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| 赤ロープ油 |
ペトロラタムを主成分とするもので,最も広く使用され潤滑効果が大で,ロープ内部の減摩と心鋼への浸透性がよく,色はやや透明であるから,ロープ表面を常時点検する箇所に適する。 |
| 黒ロープ油 |
コンポジション油とも称し,アスファルトを主成分とするもので,架空索道,鉱山用ロープに多く使用され,防錆性に富むが潤滑性が少なく,色は黒色不透明,粘着性が強い。 |
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5 ワイヤーロープの保守点検 |
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● |
次の事項のいずれかに該当するワイヤーロープは、使用せず廃棄する。
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@
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ワイヤーロープの1よりの間において素線数(フィラー線を除く)の10%以上
が切断しているもの |
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A |
直径の減少が公称径の7%をこえるもの |
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B |
キンクしたもの |
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C |
著しい形くずれ(ストランドのへこみ、心綱のはみだし)または腐食があるもの |
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D |
端末止め部(アイスプライスの編込み部、圧縮止めの金部具など)に異常の
あるもの
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● |
ワイヤーロープの点検事項は次のとおりです
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1) |
磨耗の程度:
全長を通じて最もこすられる箇所、または目に見えて一番やせていると感じられるところの2箇所以上について、直径を正しく測定します。 |
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2) |
断線の有無:
断線の本数と同一ストランドかどうかを調べます。 |
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3) |
腐食の程度:
赤錆の程度、腐食の程度を調べます。 |
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4) |
保油の状態:
油気が切れていないかどうかを調べます。 |
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5) |
形くずれ、その他異常の有無:
キンク、つぶれ、きず、よりもどり等を調べます。
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6) |
継ぎ箇所及び端末止め部の異常の有無:
差込みワイヤ端末が飛び出していないかどうか、抜けかかっていないかどうか、
ワイヤークリップがゆるんだり、ずれていないかどうかなどを調べます。 |
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▲上記、1〜4は上野誠著「ウインチの設計」(パワー社)から、5は「ウインチ運転者必携」
(建設業労働災害防止協会)から引用させていただきました。
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| 株式会社 大同重機製作所 |
広島県福山市山手町1-15-7 〒720-0092
TEL 084-951-2825 FAX 084-951-2897 |
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